#header_slider .caption { top: 10%; }


つながりから 新しい価値創出を 地域に 社会に

人口の山が去ったあとに来る“谷の時代”と、ポジティブシュリンクという希望

どこもかしこも「人手不足」。なぜ、こんなことに?

最近、「人手が足りない」「求人を出しても誰も来ない」といった声を、あちこちで耳にするようになりました。
飲食店、介護、物流、農業など、ほぼすべての業界で“人手不足”が深刻化しています。
なぜ、これほどまでに人手が足りなくなっているのでしょうか。


団塊の世代の“役割チェンジ”が、大きな引き金に

この人手不足の背景には、団塊の世代(1947〜49年生まれ)の社会的なポジションの変化が、大きく関係しています。約800万人という圧倒的な人口規模を持つこの世代は、高度経済成長期を支えた“主役”でした。
ところが現在、その世代が75歳以上の後期高齢者となり、「支える側」から「支えられる側」へと一斉に移行しています。

「働き手が減る」+「支援が必要な人が増える」のダブルパンチ

この移行は、日本社会にとって二重のインパクトを与えました。

  • 一方では、これまで働いていた人たちが一斉に引退
  • 他方で、その人たちが医療・介護・生活支援などのサービス利用者になる
  • にもかかわらず、若年層の人口はもともと少ない(少子化)

つまり今の日本は、労働力が減っているのに、支援ニーズは増えているという構造にあります。その結果として、深刻な人手不足が生じているのです。

では、団塊の世代がいなくなれば、人手不足は解消するのか?

よくある疑問として、「団塊の世代が亡くなれば、サービス需要が減るので人手不足も緩和されるのでは?」という声があります。たしかに、介護や医療などの需要は、いずれピークを越えるかもしれません。
しかし、それだけで人手不足が解決するとは限りません。

むしろ、より深刻な“担い手不在”の時代がやってくる

団塊の世代が抜けたあとの日本では、そもそも人口全体が大きく減少していくことが避けられません。
子どもも少なく、若年層も少なく、都市への一極集中が進むなかで、地方では「そもそも働く人がいない」という状況が現実化していきます。
今後は「人手不足」というよりも、「人そのものがいない」という次元の課題に移行していくでしょう。

そんな未来に必要なのが、“ポジティブシュリンク”という考え方

では、私たちはこのまま縮小を受け入れ、打つ手なく衰退していくしかないのでしょうか。
決してそうではありません。
ここで提案したいのが、私たち4DeeRが掲げてきたキーワード「ポジティブシュリンク」です。

「縮むこと」を、前向きにとらえる

“シュリンク”とは、文字通り「縮小すること」。けれど「ポジティブシュリンク」は、単なる縮小ではなく、
「縮むこと」を前向きにとらえ、最適化や再設計のチャンスに変えるという考え方です。

たとえば──

  • 人口が減るなら、都市やサービスの設計をコンパクトにする
  • 地域の規模が小さくなるなら、顔が見える関係性を取り戻す
  • 成長が見込めないなら、暮らしの質や幸福度を重視する方向へと転換する

こうした発想の転換こそが、これからの地域や社会のあり方を考える上で、大切になってくるのではないでしょうか。

“谷の時代”は、むしろ再設計のチャンス

人口の山を越えた先にやってくるのは、“谷の時代”です。それは確かに、これまでのやり方が通用しない時代かもしれません。でも一方で、余白が生まれる時代でもあります。

  • 空き家が増えれば、それを学びや癒やしの場に転用することができるかもしれない
  • インフラが過剰なら、自然に還す選択肢もある
  • 規模や効率から共感やつながりへと、価値の基準を切り替えていける

“谷の時代”には、社会のしくみや価値観をもう一度描き直す余地があるのです。


しなやかに縮みながら、新しい豊かさをつくる

これからの時代には、拡大を追い求める力よりも、しなやかに縮みながらも、豊かさを保ち続ける力が求められます。「ポジティブシュリンク」とは、人口減少という現実をただ受け入れるのではなく、そのなかに新たな意味や可能性を見出していく、創造的な問いかけでもあります。
人口の谷の先に、どんな未来を描くのか。
それは、私たち一人ひとりの想像力と、行動の積み重ねにかかっています。

\ 最新情報をチェック /

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

関連記事

PAGE TOP