日本の人口減少は避けられない現実となっています。少子化の進行により、都市部・地方を問わず人口が減少し、それに伴いさまざまな社会課題が顕在化しています。しかし、私たちはこの現実を悲観的に捉えるのではなく、ポジティブに適応し、新たな価値を生み出すことができるのではないでしょうか?そこで、私たちが提唱するのが「ポジティブ・シュリンク(Positive Shrink)」という考え方です。これは、単なる縮小ではなく、地域や社会を持続可能な形で最適化し、より良い暮らしを築くためのアプローチです。
1. なぜポジティブ・シュリンクが必要なのか?
「ポジティブ・シュリンク(Positive Shrink)」とは、急速に進む人口減少という現実を受け入れ、それに適応しながら地域や社会をより良い方向へ縮小・最適化していく考え方で、単に衰退を嘆くのではなく、持続可能で豊かな生活を実現するための戦略的な縮小を目指します。従来、日本の都市計画や経済政策は「成長」を前提に進められてきました。しかし、人口減少が避けられないことが確実ななかで、従来の拡大や成長を目指す方向を改め、適正規模への移行を考えることが求められています。ポジティブ・シュリンクは、「人口が減る=衰退」ではなく、「環境や人々にとって適正な規模に整える」という視点を持ちます。
2. ポジティブ・シュリンクの主な要素
(1) 地域資源の活用と持続可能性の追求
- 地域の強み(自然、文化、産業)を最大限に活かし、小規模でも持続可能な経済圏を構築する。
- 省エネルギーや循環型社会を意識したまちづくりを推進する。
(2) コンパクトなまちづくり
- インフラの維持・管理コストを最適化し、住みやすい環境を整える。
- 交通や行政サービスを効率化し、高齢者や子育て世帯に優しい街づくりを進める。
(3) 地域コミュニティの強化
- 住民のつながりを深め、互助の仕組みを強化する。
- 地域の担い手を増やすために、移住促進や多世代交流を促進する。
(4) 新たな価値観の創造
- 「人口が減る=衰退」ではなく、「適正規模への移行」と捉える。
- 物質的な成長ではなく、精神的・文化的な充実を重視する社会を目指す。
3. 「スマートシュリンク」との違い
最近、人口減少に対応する都市政策として「スマートシュリンク(Smart Shrink)」という言葉も注目されています。これは、都市の縮小を計画的・合理的に進める手法で、インフラや都市機能の最適化に焦点を当てています。
一方で、ポジティブ・シュリンクは、単に都市の機能を整理するだけでなく、地域の文化や住民の価値観を大切にしながら、豊かで持続可能な暮らしを目指す点に特徴があります。
項目 | ポジティブ・シュリンク | スマートシュリンク |
---|---|---|
基本概念 | 地域の持続可能な発展を目指す | 都市機能の最適化 |
重点領域 | 地域資源の活用、文化・精神的充実、住民主体のコミュニティ強化 | 都市計画、インフラの効率化、行政コスト削減 |
アプローチ | 地域の個性を活かした柔軟な適応 | データ活用や政策主導の縮小管理 |
4. 4DeeRの取り組み
私たち4DeeRでは、このポジティブ・シュリンクの考え方を実践するために、地域資源を活用したプロジェクトを展開しています。
- 「カフェからびな」・・・空き店舗を利用し、地域の交流拠点として活用
- 「あづみ野 mojito soir」・・・地域の魅力を再発見し、外部に発信する場
- 「からびなシネマ」・・・多様な価値観を学び、議論できる場の提供
こうした取り組みを通じて、単なる「縮小」ではなく、新たな価値を生み出しながら持続可能な地域づくりを目指しています。
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