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つながりから 新しい価値創出を 地域に 社会に

「今だけ、金だけ、自分だけ」を考える④「自分だけ」では続かない・・共助・公共性・地域との関係性

 もし、社会のほとんどの人が「自分だけよければいい」と思って暮らすようになったら・・
 いったい、どんな世の中になるのでしょうか。

 きっとそこでは、ゴミは拾われず、道路の雪も誰もかかず、声をかけあうこともなく、困っても誰にも頼れず、誰も助けに来ない。おかしなことが起きても、「自分じゃないから関係ない」と、みんなが目をそらす。

 そしてある日、自分が困ったとき、「誰も助けてくれない社会」を、自分も作っていたことに気づくのかもしれません。

「頼らない社会」は、じつはとても脆い

 一見すると、「自分のことは自分でやる」というのは、自立的で立派な姿勢に見えます。でも、それが行きすぎて「他人に迷惑をかけないように生きなければ」になり、さらに「他人のことに構わないのがスマート」になっていくと、社会の中から“支え合いの回路”がごっそり失われていきます。

  • 助けてと言えない
  • 手を差し伸べづらい
  • お互い様という感覚が薄れていく

そんな空気の中では、人も、地域も、静かに孤立していきます。

「自分さえよければ」という空気が壊していくもの

「自分さえよければ」という思いは、ある意味で本能的です。でも、それが社会の前提になってしまうと、どうなるか。

たとえば・・

  • 地域のルールを守らない
  • 公共の場を私物化する
  • 自分の都合で制度だけを利用し、関係性を築こうとしない

その結果、公共の信頼や、暮らしの前提が崩れていく。

 そして、誰もが不満を抱えるようになっていきます。「なんで自分ばかり負担してるんだ」、「助けても、報われないじゃないか」、「結局、みんな自分のことしか考えていない」

 そうして、支え合いの文化が一気にしぼんでしまう。それは、自分の暮らしの土台が脆くなることと、じつは同義なのです。

地域でも広がる“自分だけ”の風景

町内会、見守り活動、災害時の助け合い、消防団・・
こうした仕組みは、人と人が「面倒だけど関わる」ことで、なんとか続いてきました。
でも最近では、参加者が減り、担い手が高齢化し、「やらない理由」のほうが優先されがちです。

  • 忙しい
  • 知らない人と関わりたくない
  • 自分にメリットがあるとは思えない

その結果、“共に生きる”ことへの想像力が弱くなり、助け合いのネットワークがほどけていってしまっています。

「自分だけ」では守れない。だからこそ“つながり”が必要

災害が起きたとき、誰が助けてくれるのか。高齢者が倒れていたとき、誰が気づいてくれるのか。

答えは、マニュアルでも行政システムでもなく、日常の中にいる“誰か”です。

「自分だけよければ」と考える人が増えれば増えるほど、結局は自分すら守れない社会ができあがってしまう。
その危うさを、私たちはもう少し共有してもいいのかもしれません。

“思いやり”は、めぐりめぐって自分に返ってくる

 ここで、少し補足しておきたいことがあります。
 相手のことを思いやる、誰かに少し気を配る・・そうした行為は一見、「自分を犠牲にすること」のように思われがちです。
 でも実は、それこそが、自分の幸福感や安心感に深くつながっているという研究や実感が、近年さまざまな形で示されています。

  • 誰かと関わることが、孤独感を和らげる
  • 小さな親切が、自己肯定感や意味感を生む
  • 支え合いがあることで、不安定な状況でも前向きに暮らせる
    つまり、つながりは“他人のため”だけじゃない。自分自身を支えるものでもあるのです。

このテーマについては、また別の機会にゆっくり掘り下げてみたいと思います。

つながりは、もっと“ゆるくていい”

大事なのは、四六時中誰かとべったりつながることじゃありません。たまに声をかける、ちょっと気にかける、困っている人を見かけたときに「大丈夫?」と言える空気がある。
それだけでも、社会はずいぶん持ちこたえやすくなる。

強固な制度より、ゆるやかに助け合える関係性のほうが、案外、社会を長く支えてくれるのかもしれません。


次回は、「今・金・自分」をどう取り戻すか

次回はいよいよ最終回。
「今だけ、金だけ、自分だけ」を否定するのではなく、“だけ”の外側にある可能性を見つめ直しながら、それぞれを健やかに取り戻す方法を考えてみます。

今を生きること。お金を大事にすること。自分を守ること。
そのどれもが、責められるものではない。
でも、「だけ」に閉じないために、何ができるか・・
その問いを、一緒に考えてみませんか。

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